カスタマーラスメント対応の必要性
近年、顧客や取引先からの悪質なクレームをはじめとする、著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント、以下「カスハラ」)による被害が顕在化し、大きな社会問題となっています。厚生労働省の「令和5年度 職場のハラスメントに関する実態調査」によると、過去3年間にカスハラに関する相談があった企業のうち、「相談件数が増加している」と回答した割合は、他のハラスメントと比較しても高い数値を示しています。日々の業務で多くの患者さまと密に接する保険薬局にとっても、こうした状況は決して他人事ではありません。
このような背景を踏まえ、労働施策総合推進法等が改正され、2026年(令和8年)10月1日より、すべての事業者に対してカスハラ対策を講じることが義務付けられることとなりました。

今回の法改正に伴い、事業主が講ずべき具体的な措置(義務)として、以下の5つの柱・10項目が提示されています。
【カスハラ防止のために講ずべき10の措置】
1.事業主の方針等の明確化およびその周知・啓発
① カスハラには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を明確化し、労働者に周知・啓発する。
② カスハラの内容およびあらかじめ定めた対処方針を、労働者に周知する。
2.相談体制の整備
③ 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知する。
④ 相談窓口の担当者が、適切に対応できるようにする。
3.事後の迅速かつ適切な対応
⑤ 事実関係を迅速かつ正確に確認する。
⑥ 被害者に対する配慮のための措置(メンタルヘルスケア等)を適正に行う。
⑦ 再発防止に向けた措置を講ずる。
4.対応の実効性を確保するための措置(抑止対策)
⑧ 特に悪質と考えられるカスハラへの対処方針をあらかじめ定め、労働者に周知し、当該対処を行うことができる体制を整備する。
5.そのほか併せて講ずべき措置
⑨ 相談者や行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知する。
⑩ カスハラの相談をしたこと等を理由として、労働者が不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発する。
また、これに並行して厚生労働省は、薬局におけるカスハラ対応を念頭に置いた通知 『薬剤師の調剤応需義務等について(医薬発0708第1号 令和8年7月8日)』
を発出しました。
この通知のなかで、「薬局におけるカスタマーハラスメント」が、薬剤師法に定める調剤応需義務の「正当な拒否事由」に該当し得ることが明確に示されています。
法的な義務化に加え、こうした行政の動き(調剤応需義務の解釈明確化)を踏まえ、各会社・薬局においては早急にマニュアルの作成や相談窓口の設置など、
適切な対応を進めてください。
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10月1日施行 労働施策総合推進法改正に対応する!本部と現場がとるべきカスタマーハラスメント対策とは?
2026.07 一般社団法人薬局経営者研究会 経営コンサルタント 久保 隆
